虹色のチョークの会社とは?町工場から見る障がい者雇用の実態

20170829
「虹色のチョーク」と呼ばれる小松成美さんのよって書かれたノンフィクションの本が今、密かに日本を騒がせています。「世界一受けたい授業」でも紹介されたこの本の会社はどこのことなのでしょうか?また、この本から「障がい者雇用制度」についても考えてみたいと思います。

「虹色のチョーク」の町工場はどの会社?

この「虹色のチョーク」の会社とは一体どの町工場のことなのでしょうか?

それは

日本理化学工業株式会社

という町工場のことです。

この会社は皆さんもよく知っているであろう学校で使う「チョーク」を作っている会社です。

しかもその生産量は全国の30%を担っており、堂々の一位を誇っています。

さらに、この会社は社員83名のうち62名知的障がい者です。

人の役に立つ会社

では何故このように「日本理化学工業株式会社」「障がい者雇用」を積極的に行っているのでしょうか?

その背景にはある禅寺の導師に言われた言葉がきっかけだったようです。

人間の究極の幸せは

1つは愛されること
2つ目はほめられること
3つ目は人の役に立つこと
4つ目は人に必要とされること

の4つです。

福祉施設で大事に面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つ会社こそが人間を幸せにするのです

この言葉に感銘を受けた会社は「障がい者雇用」を積極的に行い、世界的にも注目を集め、2009年には社会に大きく貢献した企業に贈られる「渋沢栄一賞」という大変名誉な賞を受賞しています。

この素晴らしい会社の歴史については、詳しくは会社の公式ホームページに掲載されていますので確認してみてください。

日本理化学工業株式会社ホームページ

障がい者雇用率

さて、それではこの本を通じて今の日本の「障がい者雇用制度」について見てみましょう。

通常の一般企業には「障がい者雇用率制度」という厚生労働省によって定められたものが存在しています。

障がい者雇用制度

身体障害者及び知的障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、事業主等に障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するものである。

一般企業にはこのように定められた「障がい者雇用」の義務があります。

労働とは社会貢献であり、企業とはそれを行う団体なので、このような制度が設けられていますが、その雇用の割合「障害者雇用率」はたったの2.0%

100人社員がいる会社の2人は障がい者雇用として雇われているということです。

ですが、これには様々な支援制度が会社側にも用意されており、両者にとって有益な制度のようにも見えますが、この助成金などを受け取るだけ受け取って、障がい者を自主退職させるなどの「助成金目当て」の温床にもなっています。

表裏一体の制度

このように表裏一体の面を持った制度ですが、これを見直すのは難しいようです。

何故なら

1.金欲しさに障がい者雇用制度で雇う
2.助成金を受け取る
3.雇った障がい者を自主退職として届け出る
4.さらに新しい障がい者を雇う
5.再度、助成金を受け取る

これを繰り返すことができるからです。もちろん全ての会社がこれをやっているわけではないでしょうが、企業からしたら表向きは社会奉仕をしている会社を偽ることができ、裏ではお金だけをもらうことができる、こんな便利な制度は他にないからです。

こんなに簡単にお金が生まれる錬金術今の不景気な世の中で排除するのは困難でしょう。企業側もやっていることの是非は別にして、不況に苦しんでいるのは事実ですし、これから景気が回復する兆しも見えませんからね。

ですが、これらの問題は今後も厳しく審査され、法整備が済むのを待つしかないのが現状です。

さいごに

これらは、「対岸の火事」ではなく働いている健常者にも関わってくる問題です。

つまり今、企業に勤めているあなたにも言えることです。

一人ひとりが考え、国全体で解決しなければいけない問題なので、今後も動向を見守り、健常者と障がい者が共に役割をこなせる社会に生まれ変わることを願っています。

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